スピードボートで甦る 名車BMW 507
1956年から1959年の間に生産された台数が、僅か252台という貴重な名車BMW 507。それをモティーフとしたスピードボートが50年代に1艇だけ誕生していた。
ベースとなった507は、エルヴィス・プレスリーがドイツで兵役を終えた時に購入したという華々しいエピソードを持つことでも有名。しかしその反面、開発の遅れや、高額な販売価格などが要因となりメルセデス・ベンツ300SLに後塵を拝することになる。
507はアルブレヒト・フォン・ゲルツがデザインをした優雅なボディの下に、総排気量3168ccのV型8気筒OHV、最高出力150 ps、最大トルク24kgmを発生させるエンジンが収められている。スピードボートには、エンジンだけでなく、インパネ、サイド・グリルに至るまで、507のパーツが用いられている。
現オーナーの苦労の甲斐もあり、美しくレストアされたスピードボートは、どこか懐かしいOHVのエンジンサウンドを響かせる。ウッドボディで水面を切り裂く流麗な姿はやはり507を髣髴させる。
<text : 坪谷 直哉>
画像/動画出典:YouTube