クルマ × 食の美味しい関係( メルセデス・ベンツ × 帝国ホテル )

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コラボレーションによって産み出された商品は多々あれど、老舗ブランド同士となると数は限られる。なかでも、「メルセデス・ベンツ」と 「マクラーレン」による「メルセデス・ベンツ」SLRマクラーレン、「帝国ホテル」と「とらや」による「帝国ホテル 特製あんぱん」のコラボレーションは注目度が高い。それによってもたらされた魅力を探る。

「メルセデス・ベンツ」×「マクラーレン」
2004年に発表されたSLRマクラーレンは、その名の通りF1でも関係が深い英マクラーレン社と共同開発された。随所にマクラーレンのF1技術が活かされ、ボディはカーボンコンポジット材を採用。当時では珍しくエアブレーキ機能も備え、生産は英国にある同社の工場でハンドメイドによって行われた。

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SLRマクラーレンに積まれているのは、AMGによる排気量5.4リットル、スーパーチャージャー付きV型8気筒SOHCエンジン。最高出力626 ps、最大トルク780 Nmを発生させ、0-100km/h加速3.8秒を可能にする。エンジンを始動時、この車特有の洗礼を受ける。シフトレバー上端のカバーを開けてスターターボタンを押すのだが、例えるならば映画に登場する戦闘機がミサイルを発射する動作のようだ。目覚めたエンジン音は、最近のAMGのようなエンジンスタート時、爆音になる過激な演出がない分いささかジェントルに感じる。まるで男性オペラ歌手が歌うバスのように、AMG特有の低音で力強いエンジン音を奏でる。

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レースの歴史も深い独ダイムラー社は、このSLRマクラーレンに伝説のレーシングカー「300SLR」をモティーフにしたデザインを散りばめている。全体のボディーデザインを筆頭に、バタフライドア、サイドエグゾースト、エアブレーキなどがそれにあたる。なにより近年のスーパー・スポーツカーに採用されているエアブレーキが、約60年前の300SLRに採用されていたことに驚く。そして先進性を追求したレーシングカー「SLR」のネーミングを継承するに相応しく、F1の名門コンストラクターであるマクラーレン社とのコラボレーションによって、300SLR が持つレーシングスピリットを最先端のロードゴーイングカーのSLRマクラーレンに投影している。生い立ちからしても、まさに純然たる名車だ。

「帝国ホテル」×「とらや」
1890年(明治23年)に開業した帝国ホテル。その本館に店を構える「とらや 帝国ホテル店」が10周年を迎えた。その「帝国ホテル」と「とらや」がコラボレーションしたのが、「帝国ホテル 特製あんぱん」だ。ともに多くの著名人に愛されてきた由緒あるブランドなだけに、好評を博しているという。

今回のコラボレーション企画は、第一弾が8月1日から9月23日まで「帝国ホテル特製あんぱん 夏」に始まり、ホテルの正面ロビーに鎮座する大壁面、彫刻家・多田美波氏の作品「黎明(れいめい)」をイメージした特製羊羹「黎明」と続いた。今回がその第3弾、10月1日より11月30日までの限定商品。また1日に発売される数も限られているため、購入の際は予約することをおすすめする。

あんぱんというネーミングだけで、餡の甘さだけが印象的なものが思い浮かぶが、これは一線を画す。「とらや」の餡は、室町時代後期より5世紀に渡り、伝えられた技術によって産み出された逸品。その餡をベースにアレンジしたものを、やはり100年以上の伝統を受け継ぐホテルのベーカリーによるパンで包み込み焼き上げている。

「御膳餡(こし餡)※画像:左」は、抹茶の入ったブリオッシュ生地によって甘さのバランスが優れている。ちなみに縞模様は「とらや」の虎を粉糖でイメージしている。「小倉餡(つぶ餡)※画像:中央」は、白ゴマと黒ゴマがトッピングされたクロワッサン生地による香ばしさや食感とともに味わう、つぶ餡が新鮮な印象だ。そして「白餡※画像:右」、生クリームをブレンドすることで柔らかくした白餡に、ブリオッシュ生地とクッキー生地さらには、きなこを使うことで優しい味わいに仕上がっている。

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歴史ある技術を巧みに使っている「メルセデス・ベンツ」SLRマクラーレンと「帝国ホテル 特製あんぱん」。その魅力は体験すると忘れ難く、再び味わいたくなることだ。

<問い合わせ先>
帝国ホテル

<text : 坪谷 直哉 photo : 上田 穂高>

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